設計コンセプト
木造2階建ての戸建住宅のリノベーションである。住宅全体ではなく、ダイニング・離れ・洗面浴室など一般的な居住空間における断片的な増改築の可能性を考えた。
具体的には、ダイニング、キッチン、リビングと小さく分節された部屋を鉄骨の補強を行うことで、柱の無い広々とした一室空間とした。そして、リビングとダイニングの要素を含んだ居場所とするために大きなテーブルを中心に設置している。1800o×3650oの大きなテーブルは様々な日常の行為を許容し、程よい距離感をつくり、二世帯家族が集える場所にしている。さらに吹き抜けのあった空間と通常の天井高の空間を一体的にするため、ルーバーによって天井高を揃えた。下端を2150oと低く抑えながらも、上部の余白による広がりを期待した。
また、もともと居住内の一画に事務所として使用していた場所は親世帯が過ごせる離れにするため、一部増築を行い、シャワー室やミニキッチンなどの機能も付加している。
ダイニング・キッチンと離れとの間の外部空間は親子世帯をつなぐ「みんなの庭」として新たにランドスケープを再編した。この内外を連続させた環境をつくりだすことで、既存の空間領域はさらに広がりの感じられるものになっている。
既存木造住宅における居住空間及び外部空間の最小限のリノベーションにより、今まで以上に家族の豊かな日常の時間が積み重なっていくことを願っている。