設計コンセプト
建て込んだ住宅地。周辺道路も狭い。どちらを向いても、隣家との距離はかなり近い、という様な状況の中。周辺状況に左右される事なく、充分な採光通風といった外部環境がもたらすであろう生活の彩りを確保できるプランの核として、住宅の中心に光庭を設け、2階にはその光庭を挟む形でダイニングキッチンとリビングを配置しました。
戦前に建てられた、築後70年ほど経つ祖父母の家に愛着を持って住まわれてきた家族の希望は、古い家で使われてきた建具や照明器具などを再利用して欲しいとの事でした。新しい家なんだけれども、時代を経た古い物が馴染む様な、新しさと古さがうまく共存した設計を心掛けました。
南面に出来るだけ窓を大きく開いた、明るく活動的なダイニングキッチン。北向きの抑えた開口で、落ち着いた趣きとした北向きのリビング。半透明のグレーチング床を介して、斜めの関係で2階と繋がる1階アトリエ。1つの光庭を介して、表情が異なる3つの場所が、離れながらも繋がりのある住まいとしました。