設計コンセプト
鳥取市郊外、中国山地より日本海へ流れる千代川に沿って昭和後期の住宅地に建つこの住宅は、1階に親世帯、2階に子世帯が暮らす2世帯住宅である。
南東の溢れる光と風を取り込む庭を囲いL型に建物を配置した。1、2階の各々の世帯は共用の玄関、そして各々の階に設置した広いテラスでお互いの気配を感じながら大らかに繋がる。共用の玄関は吹抜けにより2世帯を継ぎ光が溢れる。そこは家族と家族を取り巻く人達の集いの場となる。各階に配置したテラスと深い庇は夏季の日影と風、冬季の温かい日差しを室内に取り込み上下のテラスをつなぐ。外部階段では子供達が行き来し、テラス下に1年間蓄えた薪をストーブに運ぶ。階高と軒高を押えた外観により、狭い交差点角地における建物の圧迫感を軽減した。屋根断熱通気工法、蓄熱式電気暖房器、エコキュートを採用し省エネルギーに配慮した。
この住まいは漆喰と地元で育った杉材を中心とした自然素材と、大工、左官工、建具工をはじめとした温かい人の手で造られた。そして地域の産業との繋がりを意識した。