設計コンセプト
広島市中心部に程近い都町に建つ建築面積7坪の狭小住宅である。この町で生まれ育ったクライアントが夫婦2人+子供3人の為に選ばれたのは三方を住宅に囲まれた間口5.3m・面積14坪ほどの敷地であった。駐車スペースと必要隣地距離を差し引いた残り7坪により、必要最小限の住まいづくりが始まった。
限られた空間の中で単調にならず変化に富んだ住まいにする為、大小様々なスペース1〜5+αを設け、スキップフロアの多重構造とした。またそれらの中心にスケルトン階段を配置することで、ルーバーのように適度に視線を調整しゆるやかに繋がることのできる空間構成となった。同時に、区画された玄関スペースをもたない為、この階段が各スペースと地域との距離を適切に保つ役割も果たしている。
住まいの上下を貫くこのスケルトン階段には、大きな開口部を持たせることで室内全体に深度の異なる採光を与え、できる限り自然光で生活できるよう工夫している。また狭小であることにより冷暖房を始めとした設備機器の省力化、光熱費削減にも寄与している。
狭小住宅ではあるが、様々なスペースを家族間で共有しあう"シェアハウス"という言葉の方がこの住宅の特徴をより表せるのかもしれない。