設計コンセプト
建物自体は動かないが、建物の周りにあって日々移り変わっていくもの同士の関係を、この建物の構成において位置づける。(動き、環境の変化、意識の変化などによって生まれる交流であったり…。)
この集合住宅においては、人と人、自然と人、街と人…それぞれを繋いでくれるような建物を目指した。そして、部分と部分の隙間に、はっきりとした区切りのないスペースを持ち全体を構成している。(部分のあり方がそのまま全体のあり方に踏み込んでいて、全体のあり方が部分のあり方に影響を与えている様に…)
更に、この地域の歴史・特徴を踏まえてこの街に溶け込むように計画した。来待石・漆喰・鉄・赤松…。北山・防風林・庇…。上記のキーワードにより各素材を決定し、各配置を決定した。そして、この建物の動線上にそれぞれの素材を嵌め込んでいる。人の動きがそれぞれの素材を繋ぎ、今ではあまり使われなくなった伝統的な素材の良さを伝えていく様に…。そして、それぞれの素材があるように、それぞれの職人の技術が活かされている。伝統的な素材+職人の技術により、歴史的な街に現代のニーズに合った建物を溶け込むように計画した。
この建物が、コミュニティーの場となり意識の変化へと繋がるキッカケになれば…と思う。