設計コンセプト
出雲の景色の象徴でもある「北山」を背後に控えた敷地は地元でものどかで自然の残された地域です。しかし一方で南面には幹線道路が走り、車の騒音などで落ち着きのない環境でもありました。
その建築的回答としたのは「大屋根」と「段々畑」でした。道路と建物のあいだに背丈ほどの盛り土をつくることで道路からの外的要因を緩やかに遮断し内部空間の環境を守っています。その盛り土と繋がるように延びていく片流れの屋根は建物全体を風雨から守りつつ盛り土と内部空間とのあいだに大きな軒下空間をつくり出しています。
大屋根には太陽光パネルを設置することでエネルギーの効率化をはかり、また大きな軒は夏冬の日差しを教科書的にコントロールしてくれています。
大地から隆起したようなボリュームが従来の田舎づくりとはまた違うかたちでの地域的な建築となり、1年後、2年後には段々畑に野菜が実り、花が咲き緑に包まれていくことで更に周りの環境にとけ込んでいくことを期待しています。