設計コンセプト
「いちご農家」を営む息子世帯と、暮らしを楽しむ親世帯の2つの世代が暮らす住宅である。長年住み慣れた住居が国の史跡指定地となり、家族は新たな土地への移転を考えた。その土地は山沿いの東西を軸とした風が通り抜け、緑ゆたかな高低差のある敷地である。敷地中央の高低差に準じて2つのリビングを配置、そのリビング両側に各室を配した。この2つのリビングは適度に開放された階段でつながり、それぞれの気配を穏やかに伝えつなぎ、山沿いを東西に通り抜ける風と、穏やかな太陽光等の豊富な自然エネルギーを有効に取入れる。また冬期には、そこに設置した2台の蓄熱式電気暖房機の輻射熱と複層ガラス等の断熱性能で省エネルギーと快
適性を高めた。敷地の高低差を利用して設けた中央下部のトレンチは農産物の貯蔵、外部収納として利用出来る他、設備機器と配管配線を集約して耐久性とメンテナンス性を向上させた。深い軒先は、夏期の強い日差しを防ぎ、冬期には温かい日差しを室内に導く。地元で調達された木材、和紙等、天然素材で構成し、人と環境に優しい住まいづくりを心掛けた。