設計コンセプト
この敷地は、台形が鋭角に変形しかつ東西で70cm程の高低差があり以前は西側の道路のみからアプローチし、ここに住宅を転用した刺繍工房が二棟建っていた。クライアントの要望は、ご主人の仕事である刺繍工房とサロンの併用住宅を変形敷地を有効利用して造ることであった。計画にあたりこの変形敷地をいかに使いこなすかが大きな課題で、まず、広さを要する工房と住宅を日当りの良い北側に東西に長く配し、鋭角に延びた南西隅に平屋のサロンを離れのように配置し二棟の間にそれぞれの駐車場スペースを設けることとした。工房とサロンのアプローチを西側道路からとし、敷地の高低差を建物で吸収することで南側道路より住宅の玄関と自家用車庫のアプローチとしている。この敷地の高低差を吸収する為に出来た2階の床レベルの段差600mmをリビングダイニングの変化に富んだ空間構成に役立てている。又、1階土間下全面に土壌蓄熱輻射床暖房(サーマスラブ)を採用し、建物全体を24時間暖房する事で快適な温熱環境を提供している。この床暖房は、5時間通電の夜間電力で稼動させて夜間の余剰電力を熱エネルギーに変換蓄熱し消費する。又、外壁及び屋根共、通気工法と遮熱シートの併用、棟を偏芯させて太陽光発電システムを設け省エネ、省CO2に貢献している。