岡山県倉敷市、美観地区を散歩エリアとし、学校や病院にも程近い利便性豊かな地にこの家は建っている。敷地の広さは道路後退の部分を除くと27坪。この小さな敷地に、延床面積23坪の家と2台の駐車スペースが計画された、いわゆる狭小住宅である。
外部においては北西の角地ということもあり、街並みの雰囲気の向上を意識し、空調の室外機やエコキュート等設備機器が全てバスコートと一つながりの機械室の中に納められている。小さな屋根ゆえ南向きのシンプルな1枚の片流れとし、将来の太陽光発電パネルの設置にも対応している。
内部においては、「小さな家に大きく暮らす」をテーマに、1階のワンルームを玄関とLDKの両方から繋がるデッキテラスのコートを含め、1つの空間として演出した。冬の暖かな光の採り入れと、温められた空気を2階に運ぶために設けられた、リビング上部の小さな吹き抜けも、空間の広がりを手助けしている。東面に配置された水周りの奥がバスコート。道路との間に設けられた1枚の壁が浴室の大きな窓を可能にし、防犯と換気の良さ、そして開放感を実現した。
断熱性能の高いこの家は、省エネルギー性に優れ、また3人家族にとっての快適性、将来の様々な変化に対応する可能性をも秘めている。