設計コンセプト
宮島の対岸に位置するこの敷地は、過去、台風の高波による床下浸水の被害があった経緯から、建物は地面より浮かす計画としました。家族構成は30代前半の若夫婦と子供2人。施主はオープンな空間を望まれたことにより、平面南側をパブリックスペース、中央水周りと中庭、北側はプライベートスペースで構成し、将来的に子供が大きくなった時、造付け収納家具で区切れるように配慮しました。基礎は、上げたスペースを床下収納とし、両サイドに傾いた壁を、構造的に鉄骨のダブルブレースに持たせ、片方を亜鉛メッキ処理した上露出し3.5m跳ね出すことで、宙に浮いたイメージの外観をつくり出しました。
内部はキッチンとダイニングテーブルを兼ねた一枚板のステンレスの造付け家具を製作し、床、少し傾いた壁をしな合板蜜蝋ワックス仕上げとすることで、船底をイメージしています。
省エネを考慮し、給湯設備はエコキュートを採用、屋根はシート防水の上断熱塗料仕上げ、夏期は南面の直射日光を防ぐため、鉄骨より遮光テントを張りました。海に隣接した建物のフォルムから「ボートハウス」と名づけ、まさに船出するイメージで佇んでいます。