設計コンセプト
西側外壁のすぐそばをJR線が通り、東側に樹々が生い茂る南北に細長い敷地である。約30年前から増改築がなされ、それらを減築して築70年の民家を改築した。地盤が余り良くなく不同沈下が有り、地盤と基礎、そして既設柱、梁を金物等で補強し、耐震性を向上させた。改修前は、玄関を開けるとすぐ道路であったため、位置を庭のある南側に移し、屋根付の玄関門を設けた。玄関を入り、小庭のある内路地を通ると、広くて高い吹き抜けとトップライトのあるホールへと辿り着く。改修前の玄関ホール正面にあった2階へ上がる階段を逆転させ、ホールからは見えない位置とした。全体の平面プランは回遊性をもたせ、引戸を多用することによって視線が抜け、外部と内部の一体感が感じられるようになっている。室内は黒い杉の床板と白い漆喰の壁という構成であり、また、2階吹抜けホールにはギャラリーコーナーを設け、趣味の絵や古い器を飾り楽しまれている。駐車場から家族用の内玄関へは安心・安全な暮らしが出来る様にスロープを設け、屋根を架けて段差なく入ることが出来る。思い出のある敷石、式台、建具、格子等は再利用し、新しい場所に移して蘇らすことができた。