設計コンセプト
岡成の家は、設計者である私とその家族のための住まいである。土地探しにも数年を費やし、やっと巡り合えたこの敷地は、名峰大山を仰ぐ田園風景の中にある。この自然豊かな環境の中で時を過ごすには、大らかな住宅が相応しい。大きな切妻の屋根を掛けることに決めた段階で、現地に軒のモックアップを製作し、屋根勾配と桁の高さ、軒の出を検討した。大山を仰ぐ東面と、対称にある西面は、ほぼ同じ立面をもつが、山の環境は風も強いため、引違いに見える木製建具は、片面を嵌め殺しとして気密も確保しやすく考えている。東と西に大きく庇を伸ばすが、棟に並行してトップライトを設けているため、日中は室内が暗くなることはない。そのトップライトには、光の強さを調整するとともに、同時に空気層をつくり結露を防止するために、ツインカーボに布を貼り付けたものを室内側に嵌めているが、そういった自らでも出来る造作や、外壁杉板塗装、内装ラワン合板の染色など、友人などの手も借りながら、自らも施工に関わり建築した。住める程度にまで職人達の力を借りてつくり、あとは住みながらつくる。家族と共に成長する家。棟持ち柱に支えられる大屋根は、尺4寸の棟木と、間中おきに配置される登り梁の架構を現しにしている。細やかなディティールへの配慮も大切に考えるが、ここでは均整のとれた骨格を持ちながら、大らかな空間をつくることに重点を置き設計を行なった。現在もまだ手を加え、工夫を重ねて生活している。