設計コンセプト
ダンススタジオを2階に併設した車庫を設計したのは、建築事務所を開設して間もない約20年前のことでした。完成5年後には、母屋に暮らすご両親の為の外部物置と2階ベランダを増築し、今回3度目の改造で建物は「住まい」になりました。
新築当時ご主人自らが塗装した外壁杉板は、20年の時を経て風化しながらも建物を守り続け、独自の品格を創り上げています。この建物の品格を守りながらの改造も大きなテーマになりました。
旧車庫入口内部には両側に硝子をはめ込んだ新しい玄関扉を取付、さらに既存のハンガー扉ももう一つの玄関扉として残しました。
元の車庫には地元産杉床板を張り、外部に繋がる多目的スペースを創りました。またその一角には薪ストーブを設置し、その上部を開口することにより、暖房と上下階の気配を共有する事が出来ました。それぞれのフロアーの新しい間仕切は耐力壁として補強を施しました。
3度の工事は同じ大工職・同じ設計者・もちろん同じ建築主で行い、さらに1人前の職能として棟梁の子息も参加しました。この工事を通じ、技術が新しい世代に受け継がれることは大変嬉しい事です。
長年にわたりこの建物を大切にしているご夫婦に感謝すると共に、充実した今後の暮らしを願っています。