設計コンセプト
本建物は、昭和初期に建築され80年以上経過し、空き家となっていたのを改修し、60代と30代女性母子2名が入居できるようにしたものです。
今回の改修では主要部は、100年後まで使用可能なように、屋根の葺き替えから構造補強、バリアフリー化を含め、また将来の入居形態の変更も考慮に入れて設計しました。工事予算が少ないこともあり、間取り、外壁、天井、内法り材はできるだけそのまま使用し、撤去した廃材の棚板、敷居鴨居等また酒造用の樽材がありましたので再利用を行い、環境負荷の低減をはかりました。既存外壁が土塗り壁でしたので、その上に県産の杉板を張り、南北に窓を設け川風が通り抜けるようにし、自然エネルギーの有効利用をはかりました。エコキュート、IHクッキングヒーター、節水型トイレ、LED照明、省エネ性に優れた高効率のエアコンを採用して省エネを図り、床材に県産杉材を多用することで省CO2に努めました。
平面計画のうえでは、建物中央に川の『掛け出し』へと通ずる通路が存在しており、景観及び観光客への配慮の為に残すことになりました。このことにより、少々動線計画が困難となりましたが、木綿街道に訪れたお客様も川辺に降りてみることができますので、伝統的な景観を残すことができました。景観に配慮して頂いた施主さまのご理解に感謝したいと思います。