設計コンセプト
広島市内に位置する集合住宅のリノベーションである。南北にバルコニーがあり、敷地周辺は高層の建物がないため、十分な採光と風通は得られる環境であった。家族構成は夫婦と子供一人。リビングはもとより水回り全般の快適性を実現したいという要望が挙げられた。
まず既存の間取りをスケルトンに戻し、可能なかぎり床下配管スペースを確保して、南側開口部の隣にキッチンを、また洗面やトイレといった水回りもバルコニー近くに配置した。さらに水回りの壁及び建具を1900mm、その上に鴨居を通してガラスの欄間とすることにより、南側からの採光を穏やかな間接光として取り込んだ空間を実現することができた。
このガラスの欄間というルールはLDKや寝室、子供室や収納まで延長させた。居室として分かれていながら天井はひとつながりに見え、気配は感じることができる。さらに居室間を仕切る建具を開放すると、南北へ抜ける風の通り道となり、鴨居を通した箇所は建具を取付けることで、3つの居室まで分けることができるように計画している。
水回り空間の採光方法を、全体の空間まで適用していくことで、明るさとつながり、また可変性をつくりだすことができたと考えている。