設計コンセプト
田園風景が残る郊外に建つ4人家族の住宅です。この住宅は、蔵が3棟並びそれぞれをガラスの屋根でつなぐ建物構成になっています。あたかも昔から蔵が3棟並んで建っていたかのように田園風景の中にスッと建っているよう配置等、意識しました。
そのうちの1棟は岡山で解体されゴミになる予定だった蔵を、所有者さんに「使えるものがあれば使って下さい」と言われ倉敷に移築再生することを決めました。使えるものはなるべく使うというスタンスで、梁、柱はもちろんのこと、基礎石、平瓦、土蔵の扉、建具、箪笥等も再使用しました。
ガラスの屋根の下は、外か内か判らないようなあいまいな通路空間とすることで部屋をクルクル回れるような回遊式平面としました。蔵と蔵のスキマから緑や空を眺められ、年月の変化を楽しめるインテリアになっています。
リビングは南側の光を高い位置から取り込み、変化に富んだ光を感じられるような白い部屋とし、北側の音楽室は、150年前の古材で構成された蔵を北側からの落ち着いた光で満ちた趣味の部屋としています。東、西側に窓や扉を設けることで通風を確保し、季節感が感じられる田園風景を借景庭園としてインテリアに取り込んでいます。