設計コンセプト
定年を迎え終の住処として計画された、老夫婦二人の為の住宅である。将来的な車椅子の生活も想定しているため、最大3.6m幅のホールを中心としたバリアフリーの平面計画となっている。
施主からの要求として、個室単位の平面構成、大量の太陽光パネルの設置が可能な大屋根の2点が望まれた。各個室は独立しておりながらも、欄間や中庭を介して緩やかに繋げることにより、互いの気配を感じられ広がりを持たせている。また中庭やテラスは、自然光を直接採り入れたり、反射光として採り込んだりと季節や天候、時間による移ろいを感じさせる装置となっている。ホールには2階のテラスからの自然光が差し込む。中庭は、光と雨が降り注ぎ植栽を楽しむなど自然を感じることが出来る。各開口部には深い軒が廻されており、季節ごとの日射の調整を行なうとともに、壁面や開口面の汚れ防止も兼ね建物の耐久性を高めている。大きな開口を設け日当りと通風を確保しつつ、周囲からの視線を遮るように屋根に穴を開けるかたちでテラスを設けている。一つ一つ当たり前のことを丁寧に組み込みながら設計を進めた。このことは、結果エコな視点からも非常に有効なことであったと考える。