設計コンセプト
定年を迎えるご夫婦と息子の3人家族。施主の要望は、「息子・娘家族あるいはご夫婦の友人など大勢の人が集まれる家」「敷地の南側に10階建てのマンションがあり、建替え以前はほぼ1年を通して室内は暗く、湿気が多い家であった為、リビングは明るく風通しの良い家」「室内に居ながら自然を感じられる家」の3つ。以上の施主の要望と周辺環境を考慮し、風道の家を計画した。
生活の中心となる風道の間は、夏はトップライトの日差しをブラインドで防ぎ、東西側の開口をルーバー状に開けることにより、風の通り道を作ることで涼しくなり、冬は降り注ぐ太陽の暖かさを感じることが出来る。家の中に居ながら空や雲を眺め、季節によって角度の異なる光が差し込むことで、今までは感じることのなかった四季の移ろいを感じることが出来る生活。すべての部屋に続く廊下状の風道の間には求心性を持たせるため、明るく広くて高い空間とし、その反対に寝室などの個々のプライベート空間は、高さを抑えて開口を制限し、籠れる空間とした。多くの人が集まっても余裕のあるリビングに、みんなの笑顔が集う空間が出来上がった。
省エネルギー面は、屋根のシート防水を遮熱タイプ、壁から屋根を伝っての棟換気、トップライトとブラインドの間の籠った熱を換気扇で排除させることにより、夏の日差しを軽減。リビングには、蓄熱式電気暖房器を採用して冬の快適性を高めた。