設計コンセプト
クライアントの要望は、(1)昭和初期の趣きをもつ木造家屋、(2)巨大地震に耐えうる堅固な構造、(3)落ち着いた光環境、(4)通風のよい家。正方形の4隅を45度にカットした立体を考えた。北側の里道と等価の空気層を隣家・母屋のあいだに設定し、かつ東西南北の4隅をカットすることで、周辺の風や光の通りを滑らかにしている。隅切のかたちは必然的に四周に立てられた4枚の壁を床で接合した構造体となる。あらゆる方向からの地震力を均等に耐震要素に伝えている。4枚の壁の間のスリットから75センチ内側に引込んだところにサッシュを東西南北の方向に取り付けた。両袖には嵌め殺しのスリットガラスを設けたことで、常に均等な間接光が4枚の壁沿いに内側に滑り込む。暖房設備は階段下、玄関ホールに小さな蓄熱式電気暖房器を設置。北向きの玄関からの進入寒気を即座に暖め、暖められた空気を階段室によって2階・3階に自然対流させている。3階にはエアコン設置スペースを設け、冷房の将来設置に備えるとともに、階段上部のシーリングファンによって暖気・冷気の上下の対流を促している。