設計コンセプト
岡山県北部に建つ、伝統木構造2階建ての民家の再生である。この家は久しく使われていなく、築140年余りになり、「先祖から受け継いできた物を壊したくないけれど住むには不便だし、どうしたらよいか」という相談を受けた。
私どもは、地場の工務店として快適な生活を送りながら住み続ける方法を提案する必要があり、再生を行うことで伝統民家を守ることもできると考え、迷うことなく再生計画を提案した。
プランは、既存の大黒柱を中心に黒い梁が飛びかっている。これらは洗いを掛けて歴史を感じさせる空間にした。天井は竹を配し、昔の大和天井を思い起こさせる懐かしい空間に生まれ変わった。また、引き戸の機能性も重視し、気候風土を考え、風通しを基本にした必然的な開閉装置とした。
伝統木構造は構造即意匠となり、ボルトや金物に頼っていない、さまざまな先人の知恵が活きている。今後も民家に学び、伝統の知恵に学ぶことを大切にしていきたい。