設計コンセプト
敷地は米子市の郊外。美しい田んぼの向こうに中国地方の最高峰「大山」という、この地方の原風景といえる景観がひろがります。この風景を住まいに取り込みたいと考えました。
建て主は以前よりこの地で生活を営んでおり、少しだけ高い位置で取り込むことで、建て主にとって日常であるこの風景をより印象的にできるのではと考え、リビングルームを地盤面より2mの高さとしました。そこを基準に、玄関から浴室に至る動線にそって床高を変えていきました。また、生活の中心となるスペースを、段状の床など複数の床高とすることで、多様な場所を持ちながら一体感のあるおおらかな空間となるのではと考えました。東面の大きな開口部には、季節や床高の変化により様々な風景が映し出されます。家族はダイニングテーブルでくつろいだり、床面に寝転がったり、段状の部分に腰掛けたり、思い思いの場所でその風景を楽しむ事ができるのです。また、北側に建て主の趣味である自転車を収納できる玄関土間、納戸、便所、洗面、浴室を、またリビングルームの床下には納戸を配置し、冬期北からの冷たく強い風や地面からの冷輻射に対するバッファゾーンとしています。逆に夏期は、北からの涼風を呼び込むよう適所に開口をとっています。