設計コンセプト
32坪の敷地面積に14坪の平屋住宅の計画である。クライアントは50代のご夫婦で、土間のある家が欲しいと依頼を受けた。14坪のうち3坪を内土間とし、木製建具で外土間とのつながりをつくる事を意識しながら設計した。敷地いっぱいに広がる空間を生みだすために、南側の板壁は敷地の形状に合わせて斜めに。そうする事でより奥行きを感じる空間づくりにつながっている。空間の広がりを感じてもらい、土間が常に生活の一部となるような暮らしを想像。色々な所に硝子を取り入れ抜け感をつくる事で、実際の面積以上の感覚を住まい手に与えたいと考えた。
この住宅は全館床暖房を採用し温熱環境のバリアフリーとなっている。内土間の下には床暖房パネル(サーマ・スラブ)を搭載する事で、土間空間もポカポカと暖かい。冬場ヒンヤリとする土間の弱点をコンクリート土間が蓄熱体となる事で解消。また無機質なコンクリートの表面を畳模様にする事で、実際に歩いてみると「柔らかい」という感覚が生まれている。
南側の軒は1.2mと深く出すことで夏の暑い日差しは内土間の手前までしか届かない。また隣家2階窓からの視線を遮る役割も担い、雨から木製建具も守っている。
限られた空間の中でクライアントの想像を超える提案をする事で、感動する住まいが生まれてくると思っている。要望一つ一つを整理しシンプルで機能的なこの住宅は、ご夫婦にとってお気に入りの居場所となっている。