設計コンセプト
岡山県の県北にある築120年の古民家を再生した。テーマは「自然回帰の家」。今回の古民家再生では、歴史ある古民家の良さを再確認して生かすこと、自然エネルギーや自然の素材を用いること、その上で快適な暮らしを求めることに重きを置いた。
家にはもともと上質な柱や梁が使われていた。今まで隠れていた柱や曲がりくねった味のある梁をあえて化粧材として現した。また、家に使われていた古材を建具として再利用した。それらは新しい材料には出せない何とも面白い趣をもっている。
自然に近い生活を求めて自然エネルギーの利用、自然素材にもこだわった。ひとつの空間となったリビングダイニングの中心に薪ストーブを置いた。暖房には薪という再生可能な自然エネルギーを使用することにより、省エネ・省CO2を実現している。薪には間伐材を使用することで、地域の里山の保全にも役立っている。開放的な吹き抜けを作り、自然光や自然風を取り入れている。壁は珪藻土。建具、床、棚には無垢の木材。塗装にもワックスを使わず自然塗料を採用した。
自然に近い家や生活を求める一方で、電化設備、LED照明、断熱材やペアガラスの使用、バリアフリーなど利便性の良い設備、間取りを採用。古い家屋を取り壊してしまうのではなく、家の歴史や伝統を残しながら快適な生活を送れる新しい住まいのカタチを実現した。再生された住まいでは暖かい薪ストーブを囲んで、和やかな家族団らんの時が流れている。