設計コンセプト
瀬戸内海に面する山間の中腹のある住宅。市内を一望し、瀬戸内海が水平線上に広がるパノラマを最大限に取り込み、快適な住環境を作ることを目指した。
建物は道や隣家に接する北・東面を壁面として閉じ、瀬戸内海に面す南・西面にパノラマを最大限採り込めるよう大開口部を設け、それに沿って必要諸室を配置。夏の日差しを避け、冬にはその日差しが取り込めるよう、軒の出を設け、その軒の出に合わせてテラスも設置。これは大開口部による住環境負荷の軽減に加え、開口部面の汚れ、崖下からの風の吹き上げを防御する面でも有効であった。
住宅の軸線となる玄関から居間へと続く吹抜けは、遥か彼方の瀬戸内海と碧空へと住空間を延長する。吹抜けと居間は一体空間として、また引込み戸で仕切ることもできる。また、この吹抜けを挟んで水廻り・倉庫・和室を配置し、その部分を構造のコアとすることで開口部の開放的な空間が実現。住宅全体に通じる視覚操作による浮遊感、開放感、季節折々の風などを住空間に積極的に取り入れたことで快適なだけでなく外部環境にまで延長した住環境を構築できたと思っている。