設計コンセプト
のどかな田園風景の広がる岡山市郊外に位置する敷地。南方向には、この地域の人たちに「児島富士」と親しまれてきた常山(つねやま)が望める。
まず常山を望むためにリビングの位置と開口部の位置が決まる。無垢材を多用したい事、またそのためなら家が小さくなっても構わないという意向から、いかにコンパクトながらも広さを感じることができるかを考えた。どのように外部空間を取り込み、中間領域をあいまいにし、外部とつながるにはどうするかを考えた。
まずは建具を開け放つことができる事。次は天井と軒天の仕上げを合わし、内と外との境界をあいまいにする事。さらにあいまいさを増すために鴨居を無くす事。外への意識を向けるため天井高さは2100oとしている。広さの感じ方は風船で例えることができると思っている。例えば風船を上から押さえると横へと広がっていくように、空間も天井を低く計画すれば外部へと意識が広がって行くように思う。もちろん、開口部の検討も重要であって、広がって行く先が無ければ窮屈極まりない空間になってしまう。天井高2100oの開放感を味わってほしいとこのリビングを計画した。
坪数が30坪程度、間口が2間とコンパクトな住宅なので、妻方向の耐力壁に頭を悩まされた。幸いにも今回の敷地には余裕があったため、耐力壁を外部へ。同じく頭を悩ませていた襖や障子も、空間を仕切ったりつなげたりする建具の全OPENの戸袋も兼ねる事とした。南側の戸袋はアプローチからのリビングのプライバシー確保にも一役かっている。
ダイニング南側のサッシにはカーテン等を計画していない。視線の抜けを妨げたくなく、広さの感じ方も大きく変わってくる。プライバシーは外部とのレベル差、サッシの高低差で確保している。
広さを感じさせるためできる限りワンルームとなるよう計画。2階の個室も例外ではなく、開け放つことで視線が家の端から端まで抜ける。
子供室のスペースを可能な限りコンパクトに計画し、家族の共有のスペースに面積を割くことを考えた。子供部屋が快適だと、将来スマホやPCさえあれば何でも部屋で解決してしまう。そうではなく、少し居心地が悪いぐらいの子供部屋で良いと思っている。その代わりに、2階にワークスペースとして大きなカウンターを設置した。