設計コンセプト
築250年を越える古民家の改修です。お施主さんは定年直後の元気なご夫婦ですが、将来を見越してのバリアフリー化、設備のオール電化を望まれていました。
元々の間取りは昔ながらの田の字型だったので、南北の庭を繋ぎ十分に風が抜けるようにリプランしています。また先の改修(既に幾度の改修を経ていた)で内部化された縁側を減築することで濡れ縁に戻し、庇の機能を取り戻しました。更に妻面の高い位置に電動で開閉する窓を設け、煙突効果を利用して効率的な換気・排気を可能にしています。
その他のご要望の中に「天井裏に隠れている小屋組みを現しにして欲しい」とありました。既存の柱梁を残して内部をスケルトン状態にした後、新しく造られた壁(白い壁)は既存の梁下で留め、時間の対比を表現しています。この操作により小屋組みをどこからでも望むことができ、姿は見えないけどなんとなく雰囲気が伝わる、謂わば大きなワンルーム住居となっています。また既存の垂木・野地板を隠すことも検討しましたが、セラミック塗料を塗ることで温熱環境にも考慮しつつ、小屋裏の雰囲気も残しています。設備にはエコキュートやLED照明を用いることで省エネ化も実現しています。