設計コンセプト
使わなくなっていた離れを解体したあとの建替え計画であるが、蔵だけは残してご主人の仕事場としている。古い蔵を再生させつつ新たな住居は「現代の蔵」的な佇まいとした。
LDKを取り囲むようにフレキシブルボード床(一部畳)がまわり、横連窓の開放感を確保しながらも、つくり出される「凹み」が居心地や適度なプライバシーを生み出している。この外周レベルはデスク〜キッチン天板〜ダイニングテーブル〜和室〜洗濯干場〜子供スペースと場を変えていく。
南北の連続窓は十分な採光と通風を確保しつつLow-Eペアガラスを採用する事で省エネ化を図り、そのうちの南面の窓高さは700mmに抑えて夏場の過度な日差しをコントロールしている。
既存の蔵は最低限のリノベーションで本来空間が持っている力を最大限に引き出す事を考えた。外部建具や屋根を取り替えしたが、分厚い土壁が夏の涼しさと冬の暖かさを生み出してくれる。まさに時代を超えた「エコ建築」である。