設計コンセプト
郊外の住宅地に建つ、施主夫婦と3人の男の子、施主の母親、計6人のための住宅である。
構成はシンプルである。敷地の真ん中あたりに居間を置き、それを取り巻くように家族それぞれの居場所が配置される。また、冬の積雪があり、海からほど近く、塩害が想定されるこの地独特の環境から、車2台分のガレージが大きなボリュームとして配置される。この結果生ずる2つの余白。これらは単なる余剰ではなく、ボリュームとの関係で空間性を帯び、内部空間との関わりからそれぞれ違うキャラクターをもつ。この住宅では、内部空間と2つの余白「庭」「中庭」とをいかに関係させ、豊かな生活の場へと昇華させるか試行した。
木造住宅の床は、通常腐朽などのリスクを回避するため床高を適宜とるが、このことが内部空間と外部空間との間でバリアとなってしまう。
この住宅では居間と「庭」との間に土間空間、軒下空間をはさみ、床高の調整を行いながら緩やかにつながる。土間には薪ストーブを設え、実用だけでなく生活の中での楽しみやアクセントとなる場とした。一方「中庭」は、デッキを施し床高をそろえダイレクトに内部空間を拡張して広がりをつくっている。