第15回 2011年 リフォーム部門 優秀賞
第15回 入賞作品 作品一覧
戻る次へ

【作品名】 滑(なめら)の家
■ 設計/株式会社
  y+M design office
■ 施工/坂根住宅
■ 竣工日/2011年4月28日
[建物概要]
■ 建設地/島根県邑智郡
■ 延床面積/124.09m2
  (リフォーム該当部分)
■ 構造・規模/
  木造軸組構法 二階建て
[設備面の特記]
■ 給湯機器
・エコキュート
■ 冷暖房機器
・エアコン
■ その他設備
・温度センサー付き換気扇
設計コンセプト
中国山地の積雪地域に建つ、築60年程度の民家をリノベーションした。老朽化したこの家屋は、柱は傾き、床は陥没するという耐震性能のほとんどない状態であった。また昔ながらの造り方のため、断熱性能はほとんどなく、天井高は2mをきる圧迫感のある空間だった。まず1階の段差があり使いにくかった水廻りを一新し、洗面、脱衣所、バスの段差を解消した。階は耐震性能を向上するため必要面積を6つの間(小部屋)に分解し、小部屋の壁を耐震壁とした。また天井高を確保するため、複雑な入母屋の大屋根形状をトレースした家型天井をもつ小部屋とした。外部に面する外壁と大屋根を柔らかく断熱した上で、各家型の小部屋をしっかりと断熱することで、中間領域をもつ入れ子状の空間構成を実現した。また、この住宅のために開発された中間領域と小部屋を仕切る「断熱障子」は、中空ビニールシートを断熱障子紙でサンドイッチした特注品である。この中間領域のおかげで、夏は風通しが良く、冬は二重断熱となり暖かい居室が可能となる。「断熱障子」を開け放つと、中間領域と家型小部屋の空間が溶け合い、これまで家を支えて来た構造材とこれから家を支える家型小部屋が混在する気持ちのよい空間となった。インテリアに関しては既存の梁をそのまま残し、単調になりがちな天井空間のアクセントとなっている。既存梁の古材の存在感と断熱材として機能する木毛セメント板の素材感が合わさり、新旧の木材に囲まれた落ち着いた空間に仕上がっている。
平面図
平面図
審査委員講評
日本古来の続き間風の間取りを、現在のライフスタイルに変更したプランニング、独立させた個室群とその間をつなぎ一室化させる広間の考え方に新鮮さを感じます。ここで用いられている両面和紙貼りの3〜4連引戸の工夫や、古い柱梁と新規の建築材料の対比など、古民家のリフォーム前後でこれ程に「すまい」が進化するものなのか、設計の技量の高さを感じます。
第15回 入賞作品 作品一覧
戻る次へ