設計コンセプト
工事は木材の切出しから始まりました。
その木材は、奥様の実家の山林で何代にも渡り守り育てられた杉と桧の一部です。初雪が降った山林には、切出された桧の香で包まれました。母屋に隣接するこの住まいには、家族がより豊かに暮らすため、少し非日常な空間が求められました。
中国山地の東南に広がる田園風景に大きく開放された2階リビングには、広い間口にそって接する畳スペース、それに続き大きなテーブルを設置して、様々な生活シーンを家族に提供します。
母屋より続く渡り廊下は、新しい住居の階段踊り場につながります。その渡り廊下の下には、路地と待合を設けました。その奥建物から半分張り出した茶室、そしてその躙り口へと続きます。古くから続く田園集落の景観に配慮し、伝統的な仕上げを内外にほどこしました。
複層硝子木製引込み建具の大開口は、恵まれた自然エネルギーを有効に利用する為の装置でもあります。
奥様の実家より頂いた木材をはじめ、使用する木材は全て地元産で構成しました。この木材と共に成長し、世代をこえて住み継いでいく、そんな住まいになることを願っています。