設計コンセプト
岡山県倉敷市から車で30分、本陣・脇本陣が現存する「矢掛町」。この住宅は老齢のご夫婦と息子夫婦が暮らす2世帯住宅。住まいの老朽化を理由に、今回、改修工事を依頼された。調査の結果、母屋の方はまだまだ住めることが分かり、今回は損傷の激しい納屋とつなぎの棟を大々的に改修することとなった。
もともと農作業用の土間空間で、現代のライフスタイルに合わず、物置きとなっていた納屋とつなぎの棟。納屋は土間に床を貼り、食堂・台所へ。つなぎの棟の一部はご近所付合いに便利なサンルーム的な土間空間とし、建具を一枚隔てて居間を置くことで、家族や来客が団らんできる空間へと再生した。
工事では壁を挿入し、新しい空間を設けるとともに、既存の天井を取払い、空間を吹き抜けにすることで、これまで隠れていた小屋裏や梁が現れた。また、従来の構造材や屋根瓦など、再利用できるものは徹底的に使い、「古くて新しい」魅力を引き出した。こうした民家の特徴を生かした住空間にオール電化を採用することで、愛着のあるわが家が今のライフスタイルにあわせて楽しく生活できる住宅として甦った。