設計コンセプト
教師のご夫婦と双子の子供の4人家族。クライアントの要望は、(1)人(教え子)が集まる家にしたい、(2)暖かく明るい家に住みたい、(3)プライバシーを守りたい、の3つ。また、敷地は日本海に近く、冬季は潮風が強く吹き、日照時間も短いことから冷え込みが厳しい。南面は幅員3mの前面道路で、その向かいには高さ4m程度の運動場の土手が広がる。北面は地域の生活道路に面し、東面は2階建住宅が建っている。以上のクライアントの要望と周辺環境を考慮し、「階段の家」を計画した。階段上の屋根は屋上階段テラスとして、ご家族とお友達、教え子、近所の方々など、人と人の輪を広げ、絆を強める新しい場としての役割を担っている。また、階段状の空間構成により、室内の広さとプライバシーの確保を両立。採光は居住スペースの奥まで十分に届くように、南面上方に向かって蹴込部にスリット状の開口を設置。この開口は落葉樹とともに、室内環境の調整も担う。夏は落葉樹が高度の高い太陽光を遮り、踏板に反射した柔らかい間接光が差し込む。冬は、高度の低い太陽光が室内の奥まで届き、床暖房の輻射熱により室内を暖める。省エネも考慮するとともに、厳しい周辺環境でも快適に過ごすことができる、新しいインターフェイスを持つ住宅が完成した。