エネルギア住宅作品コンテスト

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松石直樹・西田智史	a not-DESIGN
山内哲理・樋口　聡

作品名／｢yamaguchi-f house［かさ成り］｣

●設計／a not-DESIGN　●施工／株式会社安成工務店　●竣工日／平成17年12月20日

■建物概要

●建設地／山口県山口市大内御堀　●敷地面積／283.48m²　●建築面積／131.69m²
●延床面積／ 101.46m²　●構造・規模／木造パネル工法一部鉄骨造1階建

■設備面の特記

●厨房機器

・IHクッキングヒーター／松下電器産業 KZ-HS32B

●給湯機器

・エコキュート／ダイキン工業 STU37EFTV、RQW45EV

●冷暖房機器

・さっとほっと（電気式床暖房）／日本製紙木材 NPLシリーズ

■その他設備面の特記

・自動ドアシステム（I・S・T）・食洗機（松下電器産業）・自動水栓（TOTO）・キッチン（南木工所）
・電動リフト（アビリティーズ）・照明リモートコントロールシステム（松下電器産業）・外壁通気工法
・電化住宅設備リース制度「あっと！電化パック」利用

■設計コンセプト

この建物は筋ジストロフィーという病気を持ち、電動車椅子で生活し全面介助の必要な22歳の青年と、その妻の為の住宅である。二人の要望は、｢機器を設置し、楽だけを追及したバリアフリー住宅ではなく、シンプルで格好良く、オンリーワンで幸せな空間｣。障害をなくすだけではなく見ためのバリア、言わば｢心のバリア｣をデザインの力で解消出来るという我々の考えと合致し、家創りがスタートした。
敷地は道路との高低差が約1.3mあり、それを解決する為に緩やかなスロープを北側に設けた。中庭を囲むように居室を配置し、プライバシー性の高い外部空間をつくり出した。中庭を介して室内外を見渡す事ができ、介護をしながら家事を行う点でも有効な配置とする。
中庭と室内の床をフラットとし、床材を同色でまとめ平屋特有の水平の広がりを演出。
中庭側の開口部は60Φの鉄骨柱で梁を支えるハイブリッド構造を採用。柱の存在を消すことにより、居室と中庭との繋がりを強調。各所の高さは、青年がなるべく自分の力で操作できるよう打合せを重ねた。
結果、バリアフリー住宅とは思えないシンプルで素直な空間が出来上がった。我々はこの住宅に、今後高齢化が進む我が国において、新しい扉を開けられるヒントを見出せた気がします。要求が多様化する時代に、施主の生活像や住まい方への理想をそのまま敷地に映し出したような｢ピュアで新鮮な建築を｣という理念に一歩近づけたと思います。

■寸評

よく理解できるコンセプトと明快な計画とデザインです。心のバリアを無くすという家造りの意図が強固で、そのためやや劇場的な住宅になっていますが、この場合は社会的な働きとして評価しました。