JavaScriptを有効にしてください
当サイトではJavaScriptを使用しています。一部機能が使えなかったり表示が乱れる恐れがあります。
第27回 2023年
第26回 2022年
第25回 2021年
第24回 2020年
第23回 2019年
第22回 2018年
第21回 2017年
第20回 2016年
第19回 2015年
第18回 2014年
第17回 2013年
第16回 2012年
第15回 2011年
第14回 2010年
第13回 2009年
第12回 2008年
第11回 2007年
第10回 2006年
第9回 2005年
第8回 2004年
第7回 2003年
第6回 2002年
第5回 2001年
第4回 2000年
第3回 1999年
第2回 1998年
第1回 1997年
鳥取県
島根県
岡山県
広島県
山口県
その他
第1回〜第10回
第11回
第12〜23回
第24回
第25〜26回
第27回
第27回 2023年
第26回 2022年
第25回 2021年
第24回 2020年
第23回 2019年
第22回 2018年
第21回 2017年
第20回 2016年
錦織 亮雄
(建築家・株式会社新広島設計 代表取締役会長)
建築作品部門は、今年で3回目を迎え、応募作品の数は増大し作品の内容も平均的には向上してきている。しかし本年度の場合、このコンテストが目的としている「電化を前提にして環境や未来を見つめながら望ましいライフスタイルの器としての建築作品を求める」という趣旨に沿う総合的評価の高い作品が多数応募されたということではなかった。本年度の応募作品は、全体的に極めて平均的で入賞作品を選定することに大いに難渋した。 新しい世紀を目前として、我々の生活の中での価値観が転換点にあり、暮らしの器としての住宅のあり方にも多様な転換と新しい試みが求められる時代であるが、そのような時代的認識の中にあっても、このところ変革の痛みの中で我が国が社会的経済的停滞感の中にあり、そのことによって生活者のおおらかな活力が失われる過渡期の時代にあるのかもしれない。 最優秀作品のS邸は、3世代6人家族の安定した家庭の器として大変好ましい内容をもった住宅である。平面 計画に無理がなく、設備設計も細かい気配りのある計画がされている。共有空間と個室とが程良いバランスを持っており、住宅各部の内容もそれぞれに、独自の生活感覚にあふれている。 優秀賞の望麦舎は、旧家屋の再生に快適な装備を導入し、格調高くかつ安らぎのある空間となっている。同じく優秀賞の早島の家は、恵まれた自然環境を充分に取り入れ、質感豊かな住宅を実現しながら、AVルームなど、独自のライフスタイルが好ましく実現している。同じく優秀賞の宇野の家は、プレハブ住宅作品の中での優秀作として評価した。 今年から新設された住まいのアイデア作品は、初年度ということもあって応募作品が少なかったが、最優秀賞の賀張麻子さんの作品は、円と長方形を巧みに融合し、その中に自由な動線や植栽、採光、通 風、パッシブソーラー、雨水利用など極めて多様なアイデアを盛り込んだ大変楽しい作品である。 優秀賞の恵谷真里保さんの作品はライフスタイル変化に対応するアイデアや、ガラスキューブの導入によるアイデアなど緻密な工夫が評価された。
西川 加禰
(社)広島県建築士会「高齢者住宅と福祉のまちづくり研究会」代表
(前・広島工業大学助教授)
今回の審査を終えて新しく出てきた特徴は(1)生活環境の快適性を維持しながら全体エネルギーに占める自然エネルギー利用を高めることでローエネルギー(lowenergy)化を図ろうとするものです。例えば太陽熱蓄熱と地下深くパイプを埋めて冷気を巡回させるなど自然の温度差を利用したり、地熱を取り入れるなどです。(2)地球の限られた資源を可能な限り長生きさせて使うことにより省エネルギーを図ろうとする考え方です。具体的に入賞作品についてコメントをさせていただきますと、建築作品部門の最優秀賞「S邸」は、電化住宅である前に、家族の生活をしっかりと捉えられていることです。しかも入居後のフォローまでも責任をもって検証されております。住宅はあくまでもそこに住む家族が主体であって、住宅に合わせるのではありません。つぎに優秀賞「望麦舎」は古い農家の再生ですが、長い年月が経った住宅は建築的には使用可能であっても、家族や生活の仕方が変わってきますと住み続けるのが困難になります。しかし、有限資源の面 から住宅においてもこのような再生をしていく必要があります。「早島の家」は恵まれた瀬戸内海の自然環境を可能な限り取り入れようと、間取りや建築資材の面 で努力されております。また、玄関ホール土間の床蓄熱が可能とされておりますが、実際の効果 を期待したいところです。つぎに「宇野の家」は立地する住宅の回りが建て込んでいることが、かえって魔法瓶のような住宅を作ることが出来たと云えます。エネルギー効率から云えば大変に良いと思われますが、外壁面 の開口部が少ないぶん、インテリアが果たす役割は大きいようです。今回新たに設けられた住まいのアイデア作品部門は期待していたほどに応募数が伸びず残念でした。最優秀賞「地に緑が生い茂り水が流れる自然と共生する住宅」は全体的に自然を取り入れながら、過度な自然エネルギーを避けるという、一見相矛盾する事柄を答えてくれた作品です。しかし、南側のガラスボックスは夏季の熱射をどう押さえるのか問題があります。つぎに優秀賞の「長く住める家というのは、それだけで省エネルギーになるのだ」と云う考え方で、将来の家族や生活の変化に対応する試みがなされておりますが、今後の実現に向けての課題が残されているようです。
宮野鼻治彦
(プロデューサー・生活デザイン研究所 代表取締役 )
今年度の応募作品を見せていただいて、まず印象的だったのは、住宅の「住まい手」あるいは「造り手」の意識の中で、「電化住宅」に求める価値のフレームが、とてもクリアになってきたことを実感させられた点です。 すなわち、人と自然にやさしいアメニティな住空間づくりの必須エレメントとして、有害物質を含まない無垢材へのこだわりや、陽光を上手にとりこめる方位 と間取りの工夫、高齢化への周到な配慮、エネルギーコストの負担が小さい省エネルギー住宅の追求などと共に、「電化住宅」がゆるぎない位 置を確保しつつあることを強く感じさせられました。昨年迄と比較すると、そうした「電化住宅」本来の価値を巧みに取り込んだ成熟度の高い作品が非常に多く、応募作品のレベルが全体に均質化されていたのが、大きな特徴だったと思います。逆にその分、独創性や楽しさ、面 白さに富む傑出した作品が少なく、審査員一同選考に頭を悩ますところとなりました。 結果的に選ばれた作品はいずれも「生活の器」としての住宅に対する明確な「意図」と「平面 設計」「設備設計」がトータルにバランスよくまとめ上げられた、中身の濃いプランであると確信しております。 また、アイデア作品部門の応募数が少なかったのは、とても残念でしたが、最優秀賞に選ばれた賀張麻子さんの作品は、若い女性ならではの新鮮な着想と夢が活かされた素敵なプランで、感動しました。来年はこんな作品がたくさん寄せられることを期待したいものです。
Copyrights(C)「エネルギア住宅作品コンテスト事務局」 All Rights Reserved.